退院の日。

時々起こる腹痛に、念のためと内視鏡の検査をするために下剤を飲んでから苦しみだし、急遽入院し生検に出してから5日後に癌の告知を受け、大学病院に転院し、手術。

たった27日の間に次男の状況は一変してしまった。

目の前が真っ暗になり絶望ともいえる、人生でこれほど辛い時期はなかった27日間だった。

待ちに待った退院日。

10kg以上やせ細ってしまった次男だが、無事に退院できる喜びを家族全員でかみしめた。

支払い

午前中に入院費用を支払う。

予め概算をいただいていたが、2週間の入院、検査、手術をして約14万円。

入院費用概算

日本の健康保険制度は本当にありがたい。

ベテランの先生に手術をしていただき、何人もの医師、看護師、病院スタッフの方にお世話になってこの金額はどう考えても安い。

また次男は任意保険に加入していたので、入院、手術給付金も給付され、費用は全て保険でカバーできた。

病気には絶対になりたくないが、いざというときのために任意保険は入っておくべきだと痛感した。

若く健康なときは、「多分大丈夫だろう、まあいいか。」で済ませてしまう人も多いと聞くが、若くても何があるかわからない。

未加入の方はぜひ加入をおすすめする。若ければ保険料も安いはず。

次男の入っていた保険は、私が入っている生命保険にオプションのように追加できるものだった。

治療継続中のため、次男は新たな生命保険や医療保険には加入できないので、この保険は絶対に手放せない。

解放

手続きを済ませ、久しぶりに私服に着替えた次男がいよいよ病院を退院する。

この解放感たるや、どの言葉もぴったりこない。

  • まさかこんなことになるとは想像もしていなかった
  • 手術が無事に終わって本当に良かった
  • これで終わりではなく、まだ治療が続くのか
  • これでもう大丈夫なのではないか?

安堵と不安が波のように交互に押し寄せてくる。

とにかく無事に退院できたんだ。

今日は1日、楽しもう!そう決めた。

解放感いっぱいの次男

退院初日の行動

今日1日は無理をせず、でもせっかくなので次男のやりたいことをやってあげようとリクエストにこたえる。

Redhorse OSAKA WHEEL

いつも病院の14階から眺めていた景色。今度は逆から見渡そうと、日本一の高さを誇る観覧車に乗った。

病院からは万博のシンボル、太陽の塔の後ろ姿しか見えなかったが、正面から見る太陽の塔はやっぱり良い。

観覧車から撮影した風景、太陽の塔の向こうに大学病院が見える

ちなみに意外と知っている人が少ないようなので追記すると太陽の塔の後ろ姿はまあまあ怖い。

太陽の塔の後ろ姿

ランチ

何を食べたい?と聞くと即答で「肉」。

お昼時でどこもいっぱいだったため、比較的すいている洋食屋に入る。

退院初日の食事、しかも大腸を手術しているのに、いきなりこの食事はダメだと思う。

ただ、当時は次男の希望を叶えて上げたいという気持ちが勝ってしまった。

オムライスにハンバーグ、エビフライにビーフシチューのセット。

病院の先生が聞いたら怒られそうなメニュー。

「本当に息子さんのこと、心配してますか!!」って・・・。

すみません・・・。

退院直後の食事

ショッピング

昼食後にショッピングモールで次男に鞄とお財布を買ってあげた。

鞄は大学へ通うときに使えそうな大きめのもの、お財布は高校生の時から使っていたものだったので少し奮発してあげた。

今も自宅に置いてある鞄、時々私も使っている

「物」で釣るのはいかがなものかとは思うが、がんばった次男に何でもしてあげたくなってしまった。

その傾向は今もあるかもしれない。

ディナー

夜は車で京都まで移動した。

病室で一緒にテレビを観ては、紹介されるお店をチェックしていた。大半が飲食店。三大欲は本当だな~。

病室のテレビにイヤホンが2本挿せるキットを購入し2人でテレビを観ていた

そのうちの1つの京町家の料理屋である。京野菜をふんだんに使ったお料理が特徴。

細い路地裏にある京町家「くりお」
まるまる1個のゆずが浮かぶ雑炊

本来ならゆっくりと自宅で過ごす「べき」退院1日目だったが、次男を喜ばせてあげたくてあちこち連れ歩いてしまった。

次男の回復力にすっかり舞い上がり、無理をさせてしまったと今では反省している。

自宅に戻った次男は久しぶりに自分のベッドで横になり、翌朝までぐっすり眠っていた。