予定どおり

手術は予定どおり行われた。

8時45分に本人歩行で手術室へ向かう。

夫と私は後から着いていき、「じゃあ、また後でね。」と見送った。

看護師さんに連れられ、扉の奥へと消えていく次男をただ見守るしかない。

ただただ、「どうか無事に終わりますように・・・。」と祈るばかり。

その後は待合室でひたすら待つ。

不安がまったく無かったというと言い切れないが、ベテラン先生を信頼する気もちが大きく、きっと大丈夫だと疑っていなかった。

15時過ぎに鳥取で震度6の地震があったとTVの速報で流れたが、速報を見る前に待合室で待っている私たちもはっきり地震だとわかるほど揺れた。

心配になり看護師さんに状況をお伺いすると「確認してきますね。」と。

しばらくすると「手術室のデータを見る限り、特に問題ない。」と報告を頂き、手術がまだ行われていること、改めて手術の大変さと次男が頑張っているのだと胸が熱くなった。

術後の報告

16時30分、執刀医のベテラン先生が手術の結果報告をするとのことで面談室へ伺った。

先生は相変わらず、冷静に淡々と、しかしながら簡潔に次のようにおっしゃった。

  • 憂いを残さないため腸は多めに切った
  • リンパの一部は固くなっていた
  • その他の臓器への転移は見られなかった
  • 腸に大便が残っていて、できる限り捨てるほうへ移動させたが残っている
  • それが縫合部から漏れないことが今の心配である

腹腔鏡手術というものが、どの程度の難易度で実際にどのように行われるのかは素人の私には全く想像が及ばなかったが、その他の臓器への転移が見られなかった、大便が残っていてできる限り捨てるほうへ移動させて・・・という件に何となく安心を覚えた。

術後の抗がん剤治療について伺ったが「今は腸が正常に動き出すことが先決」とのことで明言はされなかった。

手術が終わったら安心ではないのだなと頭では理解したが、兎に角手術が無事に終わったのだと心底安堵した。

詳しい結果は後日とういことだった。

回復室

術後の回復室へ行くと、すでに意識が戻っている次男がいくつもの管に繋がれ、辛そうな表情でベッドに横たわっていた。

「よくがんばったね・・・」と声をかけると

「うるさい!!あっちいけーーーーー!」と叫んでいた。

相当痛いようだった。

後々「術後にあっちいけ!って叫んでたよ。」と言うと、覚えてないとのことだった。

がんとは言え、自分の内蔵の一部を切除するなんて・・・本当に大変だったよね、痛いかったよね。

この大変な経験を決して無駄にはさせない、と誓った。

術後回復室の次男