一般病棟に戻る
術後3日目にして、回復室から一般病棟に戻ることが出来た。
日頃テニスで体を鍛えていたためか、次男の回復力は目覚ましいほどであった。
病室は14階だったが、「1階のコンビニまで階段で行って来たよ!」と明るく報告してくれるほど回復している。
予定では今日から重湯を頂けるはずだったが、便がでないので延期になってしまった。
ベテラン先生の往診時に飴やガムを口にしても良いか?と尋ねたが、
「う~ん、食べれるようになってからね!」とのこと。
ラフな感じで「押し出し方式で少しぐらい食べてもいいと思うんだけど一応ね!」と明るく話してくれた。
こういう対応にホッとする。
しかし本人は楽しみにしていただけに、ショックが大きかったようだ。
足湯で涙
しょんぼりしている次男に何か楽しいことを・・・と思いついたのが「足湯」。
手術前にふくらはぎが痛いと訴えていたので、足のマッサージをしてあげて気づいた。
足が氷のように冷たくなっていたのだ。
術後も変わらず冷たかったので、看護師さんに足湯をさせていいかとお伺いすると快く準備をしてくれた。
次男をシャワー室に連れていき、用意してくれた大きなたらいにお湯をはり、椅子に座らせて両足を浸ける。
お湯の中で次男の足の指を一本一本マッサージしては、ふくらはぎにもお湯をかけ揉んであげる。
「どう?あったかい?気持ちいい?」と尋ねると、「うん」とうなずく。
しばらくすると、グスグスと鼻をすすり泣き声をころしている。
無理もない。
こんなに若くて、一番楽しい時期に、友だちとも会えず、恐怖と闘い、大手術を終えたというのに、まだ終わりではないなんて・・・。泣きたくなるのも当然である。
この先どうなるのだろう、という不安も大きいに違いない。
この話には後日談があるのだが、その時の私は何も言えず、ただただ次男の足をマッサージしてあげることしかできなかった。
帰り道、私は愛車の400ccのバイクでエキスポの観覧車の下を走りながら、ヘルメットの中で「〇〇がんばれ!がんばれ!負けるな!負けるな!」と泣きながら叫んでいた。